病態
耳珠の前方に皮膚の突起様構造として認められることが多い単発ないし多発性の先天性の外表性小奇形であり,軟骨母斑とよばれることもある.
【頻度】出生時の0.14~1.5%程度とされている.
【病因・発症機序】耳周囲の病変は第1鰓弓由来とされ,頸部の病変では第2~4鰓弓由来が示唆されている.
【臨床症状】(図21-28)図耳珠の前方をはじめとして,耳介周囲や耳珠と口角を結ぶ線上に発生する通常3~10mm程度の突起状小結節.軟骨様の硬さを触知することもある.耳瘻孔も同様の部位に生下時からみられるが,瘻孔を有する皮下結節であり,正常皮膚表面からの隆起がみられないことから比較的容易に鑑別できる.また,頸部にみられる場合は頸部副耳や頸耳,先天性頸部軟骨遺残とよばれることもある.
診断
多くの場合は理学的所見(病変の部位と性状)で診断可能であるが,皮膚生検による病理学的所見にて軟骨組織を内包している皮膚および皮下組織であることが確認できれば診断が確定する.
【鑑別診断で想起すべき疾患】軟線維腫や表皮母斑,脂腺母斑,母斑細胞母斑,耳瘻孔,表皮囊腫(粉瘤)などが挙げられる.
【問診で聞くべきこと】生下時より存在するかどうかの確認.体の成長に比例した拡大はみられるものの,それ以上に大きくなることや形態の変化を伴うことはない.
【病理組織学的所見】隆起性の病変で,真皮上層に多数の毛囊・脂腺・汗腺がみられる.皮膚のみの場合,軟骨組織を含有する場合,神経線維や筋組織の迷入がみられる場合もある.
【合併症】耳前副耳より頸部副耳に多いとされているが,耳瘻孔や小耳症,外耳道閉鎖,舌小帯短縮,口蓋裂や第1・第2鰓弓症候群,Treacher-Collins症候群などの合併が報告されている.
治療
ほかに合併症がみられない場合は,聴力を含めた機能的障害を伴わないことから,治療は整容面の改善を目的として行われる.治療は外科的な