病態
皮膚と消化管に血管腫が多発する比較的まれな疾患である.別名,Bean症候群.
【頻度】頻度は不明.性差や人種差はない.
【病因・発症機序】散発例が大部分で,多くは原因不明.しかし一部の症例では常染色体優性遺伝を示したとの報告がある.TEK(T1E2)遺伝子の変異が発症に関与しているとの報告がされている.
診断
【臨床症状からの診断】①皮膚と消化管に特徴的な血管腫が多発することから診断できる.②血管腫の多くは出生時から幼少時に生じるが,まれに成人発症例もある.皮膚病変と消化管病変の出現時期に時間差がある場合がある.③血管腫は独特なゴム乳首様の青味を帯びることが多く,体幹や上肢に好発する.成長に従って血管腫は増加・増大する.④また,消化管病変は口腔内~肛門までどの部分にも生じるが,海外では小腸に多く,本邦では大腸に多い傾向がある.消化管病変に刺激が加わると出血し,吐血・下血・慢性鉄欠乏性貧血・腸捻転・腸重積の原因となる.皮膚や消化管以外の臓器(脳や心臓)にも血管腫が合併することもある.
【必要な検査とその所見】血管腫の病理組織像は,静脈奇形(海綿状血管腫)の像を呈することが多い.消化管病変は自覚症状に乏しいこともあるため内視鏡検査や便潜血反応,血液検査で貧血への精査を行う.
治療
主に消化管病変からの出血に対する止血処置や貧血への治療といった,対症療法が中心となる.
皮膚病変に関しては,整容面での問題や出血,圧迫症状などがある場合は切除や硬化・塞栓療法やレーザー治療などが検討される.
a.貧血症例に対して
Px処方例
フェロミア薬錠(50mg) 1回1錠 1日2回
□患者説明のポイント ①機能障害や出血,貧血を生じなければ予後良好で,経過観察のみとなり,出血や貧血が生じた場合にも対症療法となることを説明する.②成長とともに新規病変の出現や既存病変が増大することもあるため,可能な限り定期フォ
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