診療支援
治療

Maffucci症候群
Maffucci syndrome
出月 健夫
(NTT東日本関東病院主任医長)

病態

 多発性内軟骨腫に多発性血管腫を伴う疾患である.Angelo Maffucciが1881年に最初に記載した.

【頻度】報告例は国内外で約300例とまれである.男女比は欧米では1:1とされているが,本邦では1:2と女性に多い.発症年齢は平均5歳,25%が1歳以内に,78%が思春期までに発症する.

【病因・発症機序】先天性,非遺伝性の中胚葉形成不全とする考えが一般的である.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】若年から皮膚,消化管に血管腫が多発する青色ゴムまり様母斑症候群では,内軟骨腫を合併しない.血管腫を伴わない多発性内軟骨腫症をOllier病とよぶ.

【臨床症状からの診断】両側性または片側性の多発性血管腫と多発性内軟骨腫を合併し,両側性の場合,病変は非対称性である.血管腫は四肢に好発し近傍に連続して生じることがあり,血管腫に連なる静脈は拡張して連珠状になったり,血栓や静脈石を形成したりすることが多い(図21-39)口腔内や消化管にも血管腫が多発する例がある.悪性腫瘍として,血管肉腫や悪性リンパ管腫を発症する頻度が高い.内軟骨腫も四肢の管状骨,特に手指,足趾に好発し,これらは骨幹端部で正常な骨化が行われず,形成異常として軟骨がそのまま残存し病理学的に軟骨腫の像を呈すると考えられている.このため骨は不整に成長し,成長障害や病的骨折,癒合不全を生じ,四肢の非対称や変形をきたす.内軟骨腫も悪性化する可能性がある.

【必要な検査とその所見】単純X線で,骨の腫大,変形と内軟骨腫に一致した骨透亮像を認める.軟部組織に血管腫や血管腔内の静脈石を認めることがある(図21-40)

【病理組織学的検査】血管腫は海綿状血管腫が58%と最も多く,紡錘細胞血管内皮腫も生じる.内軟骨腫は細胞成分に富み,細胞の大小不同や核異型を伴い,良悪性の判断が難しい場合がある.


治療

 対症療法となる.血管腫は疼痛を

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