病態
毛包漏斗部の角化細胞由来と推測される,良性病変である.同義語として老人性疣贅,脂漏性疣贅などがある.著明なメラニン沈着を伴うものをmelanoacanthomaと称する場合もあるが,臨床実地上,区別する意義は乏しい.老人性色素斑(日光黒子とも称する)から移行する場合がある.換言すれば,日光黒子の一部は脂漏性角化症の早期病変である.
【臨床症状】中高年者の露光部,背部,胸腹部が好発部位であるが,掌蹠を除く全身に生じうる.きわめてありふれた,加齢性変化としての側面が強い病変である.扁平隆起~ドーム状隆起する境界明瞭,表面粗糙な結節で,常色,淡褐色,褐色,黒色などさまざまな色調を呈する(図22-1a)図.日光黒子は盛り上がりの乏しい淡褐色~褐色の色素斑である(図22-1c)図.炎症を伴う場合には周囲や下床に紅斑を示す.短期間に瘙痒を伴って多数の病変が生じる場合(Leser-Trélat si