診療支援
治療

血管腫,脈管奇形
Vascular tumor,Vascular malformation
神人 正寿
(和歌山県立医科大学教授)

病態

 従来より,さまざまな血管病変に対して「血管腫」という病名が使用されてきたが,国際分類であるThe International Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA) classificationが提唱されて以来,これらを血管腫(細胞の増殖あり)と脈管奇形(異常拡張で細胞の増殖なし)の2種類に分類することが多くなっている.血管腫としては良性型(乳児血管腫,先天性血管腫,tufted angioma,毛細血管拡張性肉芽腫など),境界型(Kaposi肉腫様血管内皮腫,他のまれな血管内皮腫など),悪性型(血管肉腫など)が含まれる.一方,脈管奇形には異常をきたす脈管により毛細血管奇形,静脈奇形,リンパ管奇形,そして動静脈奇形などに細分される.

【臨床症状】血管腫の症状としては,主に皮膚あるいは消化管や肝臓などの諸臓器に,1個あるいは複数の局面・結節・腫瘤病変を形成する.

1.血管腫(脈管性腫瘍)

①乳児血管腫:新生児の0.1~1%程度にみられ,頻度が高い.出生時には存在しないかあるいは目立たないものの生後1~2週間ほどで出現し,数か月増大したのち数年かけて自然消褪する特徴的な経過をたどる.本邦で頻用されてきたいわゆる「イチゴ状血管腫」と同義であるが,近年はISSVA分類に従って乳児血管腫と称されることが増えている.イチゴのような外観を有する局面型や腫瘤型(図24-1)のほか,皮下に出現し表面が常色の皮下型などに分類される.②先天性の血管腫:rapidly involuting congenital hemangiomas(RICH)とnon-involuting congenital hemangiomas(NICH)は,両者とも出生時にすでに腫瘍が増大している.RICHは乳児血管腫と同様に自然退縮するが,NICHは退縮

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