診療支援
治療

リンパ管腫,リンパ管拡張症
Lymphangioma,Lymphangiectasia
岩田 洋平
(藤田医科大学准教授)

病態

 リンパ管腫は原因不明の先天性リンパ管形成異常であり,限局性,海綿状,囊腫状に分類される.国際的なISSVA(International Society for the Study of Vascular Anomalies)分類ではリンパ管奇形(lymphatic malformation)に含められている.後天性リンパ管拡張症は,手術・放射線・外傷などにより中枢のリンパ管に通過障害が起こり,末梢部リンパ管拡張をきたしたものである.

【頻度】発生率は1,000~5,000出生に1人と推定される.患者数は推定10,000人程度である(厚生労働省科学研究三村班疫学調査2014).

【臨床症状】大小のリンパ囊胞を主体とした腫瘤性病変を呈する.全身に発生しうるが,頭頸部,縦隔,腋窩,腹腔・後腹膜内,四肢に好発する.限局性リンパ管腫は体幹・四肢に米粒大までの小水疱が集簇しカエルの卵状の不規則な局面を形成する.海綿状リンパ管腫は,口腔,顔面,頸部,腋窩などに,常色ないし青紫色の小さい囊胞を主体とする深在性腫瘤を形成する(図24-7).囊胞状リンパ管腫は頸部に好発し,比較的大型の囊胞性腫瘤を形成する.打撲などの外傷を契機にリンパ漏・出血・感染を引き起こすことがある.後天性リンパ管拡張症は外陰部などに好発し限局性リンパ管腫と類似した皮膚所見を呈する.


診断

 リンパ管腫は,多くの場合超音波,CT,MRIなどの画像検査により診断に至る.リンパ管シンチグラフィやリンパ管造影も必要に応じて行われる.限局性リンパ管腫の診断にはダーモスコピーが有効である.


治療

a.外科的切除

 病変が体表で限局性の場合に適応となる.海綿状リンパ管腫では完全切除のためには,血管・神経・筋肉などの正常組織も切除することとなるため,機能的・整容的な問題を残すことがある.部分切除の場合には,再発や断端からのリンパ漏が生じる可能

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