病態
皮疹の性状および組織所見が皮膚リンパ腫に類似するが,良性の臨床経過をたどる皮膚局所の反応性病変.T細胞浸潤が優位な例(T細胞偽リンパ腫と称されることがある)と,B細胞浸潤が優位な例(B細胞偽リンパ腫と称されることがある)がある.本項では後者の,B細胞浸潤が優位な例について記載する.
【病因・発症機序】生体に加えられた刺激に対する局所的反応性病変と考えられており,一部の症例では誘因として虫刺症,ワクチン接種,外傷などが報告されているが,大部分の症例は原因不明である.
【臨床症状】頭頸部,体幹に好発し,顔面の病変が最多である.浸潤の強い,紅色(図25-1)図から紅紫色の丘疹,結節,腫瘤,局面を呈することが多い.単発例が多いが,多数の丘疹や小局面が集簇したり,散在性に存在することもある.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】皮膚B細胞リンパ腫(→参照),特に粘膜関連リンパ組織節外性辺縁帯リンパ腫を鑑別として考える.また近年,皮膚良性リンパ腺腫症と診断されていた症例の一部は,IgG4関連皮膚疾患(→参照)である可能性が指摘されている.しかし,皮膚B細胞リンパ腫,IgG4関連皮膚疾患とも,皮疹の性状,組織所見が皮膚良性リンパ腺腫症と類似しており,しばしば鑑別は困難である.ほかに,組織所見でB細胞のみでなくT細胞浸潤も強い場合は,原発性皮膚CD4陽性小型・中型T細胞リンパ増殖異常症〔→,「その他の皮膚T細胞リンパ腫(非菌状息肉症型)」の項参照〕も鑑別に挙がる.
【必要な検査とその所見】①診断確定のために皮膚生検を行う.組織所見は,表皮には著変がなく,表皮と浸潤するリンパ球の間には明らかな境界(grenz zone)がある.真皮上層主体にリンパ球の結節状浸潤がみられ(top-heavy appearance),時に濾胞様構造を呈する.浸潤するのは主に小型のリンパ球で異型は目立たず,tingib
関連リンク
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/皮膚B細胞リンパ腫
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