診療支援
治療

伝染性紅斑
Erythema infectiosum,Fifth disease
清水 晶
(金沢医科大学教授)

病態

【病因・発症機序】1本鎖DNAウイルスであるヒトパルボウイルスB19感染により生じる.潜伏期間は約2週間.


診断

【鑑別診断】顔面の紅斑は膠原病との鑑別を要することがある.特に成人例では非定型的な皮疹が出現するため注意する.

【問診で聞くべきこと】成人の場合,同様の症状の子どもと接した機会の有無.

【臨床症状からの診断】発熱,咳,鼻水,頭痛,関節痛,筋肉痛などの軽い感冒様前駆症状に引き続き,皮疹が生じる.顔面では,口囲蒼白と平手打ち様の深紅色紅斑がみられる(図26-7).顔面の皮疹が出現した1~2日後に,上腕伸側や臀部大腿外側に網目状の紅斑が現れる(図26-8).顔面は7~10日,四肢では4~5日で色素沈着を残さずに消失する.妊婦にヒトパルボウイルスB19が感染すると胎児水腫となることがあり,注意を要する.感染した場合,多くは流産,死産になるが,持続感染すると低出生体重児として生まれる場合もある.成人例では関節痛が出現し,定型的な皮疹は出現しにくく,紫斑や下肢の浮腫などがみられることがある.また,溶血性貧血患者がヒトパルボウイルスB19感染を受けると,急性赤芽球癆(aplastic crisis)になることがある.

【必要な検査とその所見】①抗ヒトパルボウイルスB19抗体(IgM,IgG):ヒトパルボウイルスB19に対する血中IgM抗体価は感染1週間後から上昇し,2~3週後に血中IgG抗体価が上昇するに従い,血中IgM抗体価は減少する.血中IgM抗体価の検出,ペア血清による血中IgG抗体価の上昇により確定診断が可能となる.保険上は,パルボウイルスB19感染が疑われる妊婦においてIgMのみ算定される.②病理組織学的検査:通常,生検は行わない.


治療

 ヒトパルボウイルスB19に対する特異的な薬剤や予防ワクチンはない.自然軽快するため対症療法が中心である.発疹がみられる時期には

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