病態
Epstein-Barr virus(EBV),まれにサイトメガロウイルス(CMV)の初感染時に誘発されるウイルス性発疹症の1つである.
【病因・発症機序】①成熟した免疫能を獲得した状態でEBVが扁桃のB細胞に感染し,潜伏期間30~50日(小児例では10~14日)のあと,EBV感染B細胞表出抗原に対する細胞傷害性T細胞(CTL)が爆発的に動員され,さまざまな全身症状を引き起こす.②幼児から20歳代の成人に好発する.唾液を介して感染することが多い.
診断
【臨床症状からの診断】①38℃以上の発熱,頸部リンパ節腫脹,咽頭発赤(図26-12)図,肝脾腫を主徴とする.皮疹は約20%の例に認められ,第4~10病日に麻疹様,風疹様,猩紅熱様,蕁麻疹様,多形紅斑様の多彩な像を呈する(図26-13)図.②特異的な皮疹はないが,眼瞼浮腫は診断的価値が高い.③全身倦怠感,イチゴ状舌,軟口蓋の点状出血,関節痛などを認めることがある.
【合併症】レンサ球菌感染の合併が比較的多く認められ,髄膜炎,Guillain-Barré症候群,脾破裂,末梢神経炎,心筋炎,播種性血管内凝固症候群,血小板減少性紫斑病などを伴うこともある.
【必要な検査とその所見】①リンパ球を主体とする白血球増多(異型リンパ球の出現),肝機能障害を認める.血清EBV抗体価は初感染パターン(抗VCA-IgM抗体陽性,抗VCA-IgG抗体陰性~陽性,EBNA抗体陰性)を示す.抗VCA抗体が陽性になる前から,末梢血中EBV DNAは増加しているため,EBVコピー数定量は診断に有用である(保険適用外).102~103コピー/μg DNAを示すが,極端に高値を示す場合は,慢性活動性EBV感染症などを考慮する.②頸部の超音波検査では,血流豊富な反応性リンパ節腫大が確認される.
治療
大半例は自然軽快するため,対症療法を行う.安静を指示し,輸液管理,消
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