病態
皮膚・粘膜のカンジダ症は,ヒトの粘膜,皮膚や消化管に常在するCandida属真菌による感染症である.大部分の原因菌はCandida albicansである.本症は基礎疾患をもたない健常者にも発症するが,糖尿病,膠原病,HIV感染症,血液疾患,免疫抑制薬や生物学的製剤の使用歴などを有する患者に発症する日和見感染症としても知られている.本症を繰り返す場合は基礎疾患や患者背景の検索が必要である.
診断
視診のみでは確定診断することはできない.確定診断は病巣から採取した鱗屑,膿胞蓋,爪,白苔や粘膜の擦過検体などから,直接鏡検法で仮性菌糸や密生する分生子を確認することである(図28-13)図.Candida属真菌は常在菌であり培養検査のみで確定診断をすることはできないため,Candida属真菌が分離培養された場合は臨床症状と直接鏡検法の結果を併せて判断する.
1)病型
皮膚・粘膜のカンジダ症は病変部位や症状からいくつかの病型分類が知られているが,本項では外来診療で遭遇しやすい病型について述べる.①カンジダ性間擦疹:皮膚・粘膜のカンジダ症のなかで最も頻度の高い疾患である.陰股部,肛囲,腋窩,乳房下部などの間擦部に生じる.境界明瞭な紅斑がみられ,薄い膜状の鱗屑,小膿胞,びらん,周囲に衛星病変もみられることがある.体部白癬のような中心治癒傾向はみられない(図28-14a)図.発汗や,高齢者のおむつによる汚染,長期臥床,拘縮を生じた部位など,多湿や局所の不潔などが誘因となる.乳児の陰股部や臀部などおむつで覆われる部位に生じるものが,後述する乳児寄生菌性紅斑である.②乳児寄生菌性紅斑:新生児や乳児に生じるカンジダ性間擦疹である.おむつに覆われる部位に,紅斑,膜様の鱗屑,びらん,衛星病変などカンジダ性間擦疹と同様の所見がみられる(図28-14b)図.おむつ皮膚炎との鑑別は視診だけでは困難であり
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