診療支援
治療

スポロトリコーシス
Sporotrichosis
畑 康樹
(神奈川はた皮膚科クリニック院長)

病態

 自然界の土壌や草木に腐生的に生息するSporothrix属の真菌が外傷などを介して真皮や皮下組織に侵入して発症する慢性肉芽腫性疾患である.かつては黒色真菌感染症とともに代表的な深在性真菌症であった.

【疫学】本邦での発症数は1980年代をピークに減少傾向であり,2010年以降の年間報告数は平均10例前後である.その理由として,都市化により土ないし草木と触れる機会が減少していることが挙げられる.関東近郊の農業地域,福岡県と佐賀県にまたがる筑後地域,長崎県島原地方に多くみられ,東北地方,北海道地方からの報告はきわめて少ない.年齢分布でかつては小児と高齢者の二峰性の分布をとっていたが,近年は小児の発症数は激減している.

【病原菌】原因菌はSporothrix(以下S). schenckiiとされていたが,2006年分子生物学的手法により,この菌は数種の菌からなる複合種であることが報告され,本邦

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