病態
節足動物による皮膚疾患として,①吸血によるもの,②毒成分によるもの,③接触皮膚炎を生じるもの,④皮膚に寄生するもの,⑤節足動物媒介性のものに大別される.
ハチ,ムカデ,蚊,ブユ,アブ,ノミ,トコジラミ,ドクガ,イラガの幼虫,ハネカクシ,カミキリモドキなどにより引き起こされる.
【頻度】①主に夏季に,ハチ,ムカデ,蚊,毛虫などによる皮膚炎を生じる.日中,野外での受傷が多い.②ムカデは夜に家の中に入ってくるため,寝ているときに手足を咬まれることもある.
【病因・発症機序】①吸血性の節足動物として,蚊,ブユ,アブ,ノミ,トコジラミ,イエダニ,アタマジラミ,ケジラミ,コロモジラミ,マダニなどがある.②刺したり咬んだりする節足動物として,ハチ,ムカデ,アリ,クモ,マツモムシなどがある.③接触皮膚炎を生じる節足動物として,ドクガ,イラガ,ハネカクシ,アオカミキリモドキなどがある.
【臨床症状】刺傷部位に紅斑,丘疹が生じる.ハチやムカデの場合には,浮腫性紅斑を生じ痛みが強い.毛虫皮膚炎のときには,ばらまいたような丘疹が生じる.
【特に注意すべき臨床症状】ハチ刺症やムカデ咬傷の場合,アナフィラキシーショックを生じることがある.受傷後に,血圧低下や全身の膨疹などに注意がいる.
診断
【問診で聞くべきこと】受傷機転として,日時や野外活動の有無を尋ねる.ハチ刺されの場合に,受傷してからの時間を問診する.受傷後,特に30分以内であれば,血圧,血液酸素飽和度などバイタルサインを測定し,アナフィラキシーに注意する.
【臨床症状からの診断】受傷時に虫体をみていれば診断がつく.みていないとき,痒みを伴う紅斑や丘疹があれば節足動物による皮膚炎も鑑別として考える.
【必要な検査とその所見】ハチに刺されてアナフィラキシーを起こしたことがある場合には,スズメバチ,アシナガバチ,ミツバチのIgE RAST検査を行う.
治療
皮