病態
気温や運動による体温の上昇や,緊張や集中での精神性負荷で発汗は誘発されるが,日常生活に支障をきたす程度と自覚すれば多汗症と診断される.続発性多汗症(薬剤性,神経疾患,内分泌疾患など)以外の大部分は,現在のところ原因が特定されておらず原発性多汗症と分類とされる.
【頻度】本邦で汗で日常生活に支障がある頻度は12%程度であり,手掌多汗症は5.25%,腋窩多汗症は5.8%程度とされている.
【病因・発症機序】コリン作動性副交感神経の終末からアセチルコリンが分泌され,エクリン汗腺の分泌部が収縮することで発汗が促されるが,血清学的,汗腺の形態学的な異常は明らかでない.原発性局所多汗症の場合,精神性発汗中枢として大脳前頭前皮質領域,自律神経系の何らかの機能的な異常の可能性が考えられている.
診断
原発性多汗症は発汗する部位により,全身性多汗症と局所多汗症(頭部・顔面,腋窩,手掌,足底)に分類される.手