診療支援
治療

再発性アフタ
Recurrent aphtae
浅井 純
(京都府立医科大学講師)

病態

 アフタは口唇,頰粘膜,舌辺縁,歯肉などに生じる直径3~5mm程度の円形ないし類円形の潰瘍性病変である.このアフタが何度も繰り返し生じるものを再発性アフタとよぶ(図32-7)

【疫学】思春期,20歳代に発症することが多く,女性にやや多い.

【病因・発症機序】自己免疫反応や胃腸障害などが関与しているといわれているが,はっきりとした原因は不明である.過労,精神的ストレス,ビタミン欠乏,歯科金属による外的刺激,月経,喫煙などが誘因になると考えられている.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】ヘルペス性歯肉口内炎,カンジダ性口内炎,粘膜類天疱瘡,尋常性天疱瘡,口腔癌などが挙げられる.また,再発性アフタはBehçet病,Reiter病,炎症性腸疾患,Felty症候群などの部分症状として出現している場合があるため,眼症状,消化器症状,外陰部潰瘍,結節性紅斑様皮疹などの有無をチェックする.

【問診で聞くべきこと】歯科治療歴,喫煙歴,睡眠時間や食生活といった生活習慣,月経との関連など,誘因となる因子について聴取する.また,眼症状,消化器症状,外陰部潰瘍などの既往についても詳しく聴取する.

【臨床症状からの診断】線維性偽膜で覆われ,周囲に紅暈を伴う浅い境界明瞭な潰瘍性病変を口腔粘膜に認めたら,本症を疑う.

【必要な検査とその所見】ヘルペスによる口内炎の除外が必要な場合は,Tzanck試験や血清抗単純ヘルペスウイルス抗体価の測定を行う.カンジダ性口内炎の除外には白苔を採取してKOH法による直接鏡検を行う.自己免疫性水疱症の除外には,皮膚生検や血清中の抗体価(抗デスモグレイン抗体や抗BP180抗体など)を測定する.

【病理組織学的検査】血管周囲性リンパ球,好中球浸潤,真皮の浮腫といった非特異的炎症反応を認める.自己免疫性水疱症や口腔がんとの鑑別に有効である.


治療

 口腔内うがいによる清潔の維持に努め,口腔用

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