日常診療のなかで内分泌疾患を診断する契機として,皮膚病変は重要な手掛かりの1つとなる.本項では,糖尿病を除く代表的な内分泌疾患に伴う皮膚病変について述べる.
病態
種々のホルモンは表皮角化細胞の分化,色素細胞のメラニン産生,汗腺や脂腺細胞の機能,真皮線維芽細胞による膠原線維やグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan:GAG)などの細胞外基質の産生,毛と爪甲の成長,脂肪細胞の増殖などに関与する.また,皮膚血管に作用し循環動態に影響を及ぼすため,分泌異常ではさまざまな皮膚性状の変化,皮膚病変を生じる.しかし,その詳細な作用機序は不明な点が多い.
甲状腺機能亢進症に伴う脛骨前粘液水腫は,甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)受容体抗体が線維芽細胞を刺激してGAG産生を亢進させることが推測されている.
【臨床症状】内分泌異常により各疾患に
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