患者が納得して治療を選択するためには,医師による懇切丁寧な説明が不可欠です.保険医療機関及び保険医療養担当規則第十三条には,「保険医は,診療に当つては,懇切丁寧を旨とし,療養上必要な事項は理解し易いように指導しなければならない」と表現されています.この本の編者である蝶名林直彦先生は,医療行為に至る前の医師と患者の間で繰り広げられる対話の重要性にこだわり続けている内科系の医師です.患者が治療に対して納得した意思決定をするためには,医師による専門性の高い説明が必要で,その価値を人々に理解してほしいと考えておられるのだと思います.
臨床現場では看護師などが「ICする」という動詞をよく使います.医師に「ICした?」と尋ねるときは,患者へ説明がなされて,サイン済みの同意書がある状態を期待しています.つまり,「ICする」のはこの場合医師となります.ですが,私はこの言葉の使い方は間違っていると思います