すべての検査や治療を行う前に患者さんやその家族に行う医療説明は,特別な場合を除いて不可欠である.それは,「医療」という名のもとに,患者さんの身体に外部からなんらかの行為が加えられる以上,倫理的に必須だからである.
そして医療説明を受けた患者さんの判断によって,検査・治療を行うかどうかが決まってくるわけで,その検査・治療の医学的適応以上に,医療説明の「良し悪し」が,医療行為の実施の是非を最終決定するといっても過言ではない.
さらに医療説明の内容や技術はもちろんのこと,患者さんの立場や環境を考慮しつつ提案したかどうかといったことも大切な要素となる.
わが国においては,このような医療説明に関する具体的な方法を,客観的に評価した仕事は少なく,その部分はむしろ歴史的に空白に近い状況であった.しかし一般社団法人内科系学会社会保険連合(内保連)では,医療行為決定に際して医療説明の重要性を認識し,なかで