診療支援
患者説明

本書の編集方針
蝶名林直彦

内科系学会社会保険連合「説明と同意」委員会委員長 蝶名林直彦

1)本書『標準的医療説明』作成の経緯

 冒頭に記載したように内科系学会社会保険連合(内保連)の調査結果から意思決定支援のための説明のいくつかはかなり医療負荷度の高いことが明らかとなっています.一方,すでに日本内科学会において「より良いインフォームド・コンセント(IC)のために」として標準的な説明の成書があるものの,かなり年月が経っています.そうしたことから,各領域において比較的難易度が高く時間のかかる説明を選択し,また悪性腫瘍に対する検査や治療を大幅に追加して,今回最新版として標準的な医療説明の手順を示すものとして作成されました.

2)説明文書の基本的構成

 本書各論の個々の説明文書の内容は,基本的には以下の項目を含んで記載されており,治療・検査とも原則的には同じ項目・順序で記載してあります.

 ①現在の病状・病態の説明 ②治療(検査)目的 ③治療(検査)法の概略と効果 ④治療(検査)中あるいは後に起こりえる主な副作用・合併症 ⑤本治療(検査)を受けなかった場合に考えられる結果 ⑥本治療(検査)以外の治療(検査)法について〔代替治療(検査)〕 ⑦治療(検査)にかかる費用

 なお各論に挙げた各説明項目は,基本的には厚生労働省による診療報酬承認あるいは公費負担などの可能なものですが,ごく一部に未承認(適応疾患のみ)のものが含まれており,その旨は,明記されています.

3)有害事象の記載に関して

 治療や検査の説明文書に,どこまでの有害事象を記載するかについては執筆者やその領域の専門家の判断に任せてありますが,有害事象の頻度についてはできるだけ一般的な頻度あるいは執筆者らの施設での成績などを記載していただき,数字で表すことの難しい場合には,「きわめてまれ」や「しばしば」などの文言で記載するように統一しました.また,重大な副作用は頻度が低

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