診療支援
患者説明

医療説明に関する内保連の実態調査
蝶名林直彦
(聖カタリナ病院・院長)

はじめに

 一般的に,患者に対する治療や検査を行う前には,特別な場合を除き患者あるいはその家族に当該治療または検査についての医療説明が行われる.すなわち検査や治療を患者に行っていこうとする際に,医療説明は避けては通れない医療技術の1つであるにもかかわらず,その手法について確立されたものは,わが国ではごく少数1)であり,さらにそれが医療者にどのくらいの負担(負荷)になっているのかについての検討は見当たらない.

 一方,内科系学会社会保険連合(以下内保連)では小林ら2)を中心に内科系技術についての負荷度調査が行われ,内科系診療の総合負荷と患者への貢献度に相関関係のあることが明らかにされ,その最も高い負荷度を有する25疾患が特定内科診療と定義され,DPC制度の算定要件に組み込まれるに至った3).しかし医療説明,すなわち「説明と同意」についての各疾患を対象とした具体的な調査ではなかったため,2014年以降,内保連では「説明と同意」に関する委員会を立ち上げ,二度にわたる実態調査を行い最終的には,「内保連グリーンブック『説明と同意』に関する調査報告と提言」4)としてまとめられた.本項は,その概略とそれに対する考察を付して総括する.

1.調査の対象と方法

1)一次調査の対象と方法

 内保連に所属する内科関連の123学会に,2014年5~9月の5か月間にアンケート用紙を送付し,各学会の保険担当委員長に記載を依頼した.

 調査項目としては,各科領域で臨床現場において通常行われる検査や治療のうち,一般的に説明が実施されている(同意書取得の有無は問わない)ものを網羅的に洗い出し,その説明について,当該施設で行われた場合に費やされるおよその説明時間・説明人数と職種(医師,看護師,コメディカルなど)についての記載を依頼した.

2)二次調査の対象と方法

 全国における約90の医療施設(大学病院,総合病院など)を対象と

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