診療において不可欠なものである「説明と同意」,すなわちインフォームド・コンセント(informed consent;IC)は,すべての情報を関係者に開示しつつ診療のゴールを共有し,患者と医療者が協働で診療計画などを作成することを指します.
昨今,わが国においてもICは,その概念や定義がおおむね確立して,日常診療においても広く定着しています.その誕生や発展の歴史を振り返ると,社会の変遷や医界の成熟を背景に倫理や法理などの論点が複雑に絡みつつ,今日に至っていることが理解できます.この間,医療経済にまつわる課題が占める割合は小さく,顕在化することもなかったと考えられます.
しかし,患者の理解や納得の醸成のために十分な手間をかける必要があること,また患者の価値観の多様化や社会とのつながりの変遷が進んでいること,など最近の動向を考慮するならば,ICの本質を社会経済性などから改めて問うことも望まれま
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