診療支援
患者説明

インフォームド・コンセントと看護師
井部俊子
(長野保健医療大学・教授)

1.はじめに

 医療法第一条の四第2項では,「医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手は,医療を提供するにあたり,適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」としてインフォームド・コンセントの重要性を規定しています.

 日本看護協会は,インフォームド・コンセントについて以下のように説明しています1)

 『インフォームド・コンセントとは,患者・家族が病状や治療について十分に理解し,また,医療職も患者・家族の意向や(また彼らが)様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか(を理解し),どのような医療を選択するか(を考慮しつつ),患者・家族,医療職,ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し,皆で合意するプロセスである.』

 インフォームド・コンセントは,ただ単に病状を告げ,同意書をとることではない.日常の場面においても,患者と医療職は十分に話し合って,どのようなケアを行うか決定する必要がある.

 したがって,インフォームド・コンセントは,患者の知る権利自己決定権自律の原則を尊重する行為であることを根底にし,患者・家族と医療職が互いに信頼に満ちたものになっているよう努めなくてはならない(下線は筆者).患者の尊厳を守り,患者・家族の権利を配慮したインフォームド・コンセントになっているか,という視点で考える.患者・家族の関心事(気がかり)を重視し,患者・家族と医療職が互いを表現し合う場になっているか,病状説明の場においては特に,選択する医療行為の利害と患者・家族の生活,人生への影響を考えられるようなプロセスになるようにする.

 インフォームド・コンセントにおいて必要とされる看護職の役割は,患者が十分に理解した上で医療を選択し決定できるような十分な情報を丁寧に伝えることと同時に,患者・家族の権利を尊重するために積極的に働きかけるアドボカ

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