1.がん診療における“悪い知らせ”の伝え方
がん診療では,がん告知,再発や緩和ケアへの移行などのいわゆる“悪い知らせ(bad news)”を患者に伝える場面に直面する.“悪い知らせ”は,患者にとっての将来の見通しを根底から否定的に変えてしまう.この”悪い知らせ”を患者に伝えることは医師にとって最も困難な作業である.“悪い知らせ”を患者にできるだけスムーズに伝えるには,いくつかの重要な事項があり,最近では,コミュニケーションスキルが提唱されている.
藤森,内富らは,国内のがん患者,がん専門医に対する面接調査にて,悪い知らせの際の意向に関する調査を行い,がん患者の意向の概念を4つの構成因子から構成される“SHARE”として示した(表1表)1).4つの構成因子は,支持的な環境設定(supportive environment),悪い知らせの伝え方(how to deliver the bad n