診療支援
患者説明

在宅酸素療法
仲村泰彦
(東邦大学医学部内科学講座呼吸器内科学分野・助教)

1.現在の病状・病態

 酸素は生体内の正常な機能・生命維持に必要であり,エネルギー代謝に不可欠な物質です.しかし,呼吸器系や循環器系の病気では,慢性的に血液内の酸素が不足する場合があります.酸素が不足すると,息切れのため運動不足や栄養不良となり,呼吸筋や手足の筋肉がやせるため,呼吸がうまくできなくなります.また,呼吸機能が低下し,酸素不足が進行すると心臓にも負担がかかり,いわゆる心不全の状態となってしまうこともあります.さらには,酸素不足により不眠症や抑うつになってしまうという問題があります.

 そこで,室内気より高い濃度の酸素を投与する治療(酸素療法)が必要となります.酸素療法を自宅で実施することを在宅酸素療法(home oxygen therapy;HOT)とよびます.

2.治療目的

 HOTの目的は,体にとって必要な量の酸素を補充することです.われわれが普段吸っている空気中の酸素濃度は約21

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