診療支援
患者説明

大腸がん
菊池大輔
(虎の門病院消化器内科・部長)

1.大腸がんとは

 大腸がんは大腸粘膜から発生する悪性腫瘍です.発生部位により,結腸,直腸,虫垂,肛門管に分けられます.そのなかでも結腸は盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸に分類されます.組織学的には多くが腺がんといわれるがんですが,まれに腺扁平上皮がん,扁平上皮がん,カルチノイド腫瘍,内分泌細胞がんなどの組織型も存在します.

 大腸がんは進行すると,徐々に大腸壁の深くまで浸潤するようになります.大腸壁を超えて周囲の臓器や腹腔にがんが浸潤することもあります.大腸壁にあるリンパ管や血管などの流れに乗って周囲のリンパ節や肝臓もしくは肺などに転移をすることもあります.そのほかには腹膜,皮膚,骨,脳などのほかの臓器に転移をすることもあります.

2.大腸がんの症状

 初期の大腸がんは症状がないことがほとんどです.症状がなく検診などの便潜血反応が陽性で大腸内視鏡や注腸検査をして発見されることもあります.進行すると血便や便秘もしくは下痢などの便通の異常をきたすことがあります.そのほかには腹痛,腹部膨満,腹部のしこり,体重減少などの症状もありえます.がんが大きくなり消化管の内腔を閉塞させてしまうと,排便や排ガスができなくなり,嘔吐や腹痛をきたすことがあります.この状態を腸閉塞といい,早急に医療機関に受診する必要があります.転移をきたした大腸がんは転移臓器によりさまざまな症状を呈します.

3.大腸がんの病期

 大腸がんの病期(Stage)はがんの壁深達度,リンパ節転移の有無,遠隔転移の有無によって決められます.Stageは0~Ⅳまでの5段階に分けられます.

Stage 0:大腸壁の深達度が粘膜内にとどまり(Tis),リンパ節や遠隔転移のないもの.

StageⅠ:大腸壁の深達度が粘膜下層にとどまる(T1),もしくは固有筋層まで浸潤しこれを越えないもの(T2).かつ,リンパ節転移や遠隔転移のないもの.

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