1.現在の病状・病態
受診前の多尿,脱水,口渇,多飲,体重減少という症状は,高血糖(250mg/dL超)が原因と考えられます.ちなみに,血糖の値というのは,食前100mg/dL未満で食後も130mg/dLを超えない狭い範囲に保たれています.高血糖となると余分な糖を尿糖として排出するので,血糖が高いほど排出する尿糖も多くなり多尿となります.多尿となると脱水となり,脱水となると口渇や多飲という症状をきたします.
血糖を狭い範囲に保つしくみで最も大事なのは,血糖を体の細胞に取り込むインスリンという膵臓から出るホルモンです.インスリンの分泌が絶対的あるいは相対的に不足したり,インスリンが正常に作用しなくなったりすると,高血糖になるとともに,体内の脂肪を燃料とするようになり体重が減ります.脂肪を主な燃料とするようになると,脂肪の代謝産物であるケトン体が増えケトーシスという状態になります.ケトン体は酸