診療支援
患者説明

フラッシュグルコースモニタリング(FGM),持続血糖測定(CGM)
増谷 剛
(ましたに内科クリニック・院長)

1.現在の病状・病態

 良好な血糖コントロールを達成することの主な目的は3大合併症の発症,進展の予防です.合併症には糖尿病網膜症,糖尿病腎症,糖尿病神経障害があります.本邦では,糖尿病網膜症は中途失明原因の第2位,糖尿病腎症は透析原因の第1位です.また糖尿病神経障害などが原因で足病変が重症化し,下肢切断に至るケースが年間1万人以上にのぼることが知られています.一般的に合併症の発症,進行を予防するためHbA1c 7%未満を目標として治療を行います.しかしHbA1cを低下させるほど低血糖リスクが上がります.近年,低血糖と不整脈による突然死,認知症との関連が報告されており,特に高齢者では低血糖を起こさせない治療が必須であると考えられています1).良好な血糖コントロールとは単にHbA1cが低いだけではなく,高血糖も低血糖もない良質なコントロールといえます.

 低血糖の原因薬剤は半数以上がインスリンです.低血糖はインスリンの過剰投与によって生じます.なぜ,過剰投与になってしまうのか? それは血糖自己測定では血糖変動を把握しにくく,患者自身でインスリンの単位を調整することが難しいためです.したがって血糖測定の結果などに基づき医師主導のインスリン治療すなわち,「食前5単位,食前の血糖値が250mg/dL以上なら+1単位」というように医師の指示どおりに注射を行っていました.入院食のように食事療法を遵守していれば問題はありませんが,鍋料理など糖質を含まない食事,焼き肉など血糖上昇が緩やかになる食事,飲酒をするときなど,医師の指示どおり注射をすると低血糖が生じる場合があるのです.カーボカウント(糖質量に合わせてインスリン単位を調整する方法)を習得すれば低血糖発症の確率は減りますが簡単には習得できません.そこで登場したのがフラッシュグルコースモニタリング(flash glucose monitori

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