診療支援
患者説明

濾胞性リンパ腫に対する治療
福原規子
(東北大学病院血液内科・講師)

1.現在の病状・病態

 「濾胞性(ろほうせい)リンパ腫」とは,血液のがんである悪性リンパ腫の1つです.悪性リンパ腫は,リンパ球という白血球(血液中の細胞の一種)ががん化し,リンパ節が腫れたりする病気で,とても多くの種類に分かれています.病気の進み方が速いタイプ(週~月単位で進行する)もありますが,「濾胞性リンパ腫」は病気の進行が比較的遅いタイプに分類され,一般的に年単位でゆっくりと進んでいく「低悪性度リンパ腫」の1つです.

2.治療目的

 リンパ腫治療の基本は薬物療法(抗がん剤などの化学療法)や放射線治療です.「濾胞性リンパ腫」では,いったんは治療が効いて腫れたリンパ節などが縮小(あるいは消失)することが期待できますが,再燃を繰り返す特徴があります.最近では「濾胞性リンパ腫」の10年生存割合は8割,平均余命は15年を超えると報告されていますが,徐々に薬物療法や放射線治療が効きにくくなり,がん細胞を完全に消滅させること(治癒)は難しいタイプです.したがって,濾胞性リンパ腫の治療方針で大切なことは,今の日常生活を大切にしながら,あわてないで,病気のコントロールを目指すことです.

3.治療法の概略

 治療方針を考えるときは,まず限局期(ステージⅠ期,Ⅱ期)と進行期(ステージⅢ期,Ⅳ期)に分け,進行期ではさらに腫れたリンパ節の大きさなどにより,「低腫瘍量」と「高腫瘍量」の2段階に分けて検討します.

1)限局期の治療

 「濾胞性リンパ腫」は一般的に進行期で見つかることが多いといわれています.そのため限局期が疑われた場合は,全身の画像検査(CT検査やPET検査など)や骨髄検査などで,詳しい病期診断を行います.そのうえで限局期と診断された場合,病変全体に放射線治療が可能な場合には放射線治療が標準治療として勧められます.しかし,限局期とはいえ病変が広がって放射線治療が難しい場合や,病変の部位によっては放

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