診療支援
患者説明

小児造血器腫瘍に対する化学療法
富澤大輔
(国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科・診療部長)

 本項では,小児造血器腫瘍で最多の疾患である急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia;ALL)を例として,記載します.また,小児特有の状況として,インフォームド・コンセントは通常患者本人ではなく,患者の親権者に対して行われます.しかし,子どもの年齢や発達に合わせて,わかりやすい言葉で,可能な限り病名の告知,病気や検査,治療内容の説明を行うことが求められます.小学生以上であれば,親権者とは別に,子ども本人から「インフォームド・アセント(法的規制を受けない子どもからの了承)」を得ることが望ましいです.

1.現在の病状・病態

 小児・思春期のALLは「小児がん」の一種です.がん細胞とは,正常な細胞に体の設計図である遺伝子の変異が積み重なることで,「正常な機能をもたない」,「過剰に増殖する」細胞に変化したものです.血液細胞ががん細胞になる病気が「白血病」です.ALL

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