診療支援
患者説明

神経生検
日本神経学会末梢神経疾患セクション

1.本検査を行うに至った病状・病態の説明

 末梢神経はさまざまな病態で障害されます.末梢神経が障害されると,手足に脱力やしびれ感,時には痛み,感覚の低下などの症状が出現します.

2.検査目的

 神経生検は,末梢神経の一部を取り,顕微鏡で見ることによって,末梢神経の病変や状態を把握し,診断するのに有用な検査です.

3.検査の方法

 局所麻酔をして皮膚組織を切開し,末梢神経組織を取り出します.通常は足首のくるぶしの後ろを5~8cm程度切開し,腓腹神経という神経を探り出して取り出します.腓腹神経は感覚神経線維しか含まないため,足の動きには直接関係ありません.取り出した標本は,薬品処理後に顕微鏡で神経の形態やさまざまな組織染色をして調べます.本検査に要する検査時間は1~2時間程度です.

4.検査による合併症や後遺症

 神経生検では通常は腓腹神経という感覚神経を検査しますので,患者さんによっては,足先に感覚鈍麻やしびれ感などが残ることがあります.運動麻痺は,通常きたしません.神経生検は,基本的に安全な検査ですが,切開した場所の感染,出血,神経損傷,手術時の傷が開く(縫合不全),(歯科治療の麻酔などと同じく)局所麻酔薬によるショックなどの合併症が起こることがまれにあります.そのほかに予期しない合併症が起こる可能性は皆無ではありません.切開部位である,くるぶしの後ろの皮膚がきちんとくっつくように,術後は安静が大切で,術後数日は歩くのを最小限にする必要があります.

5.本検査を行わなかった場合

 末梢神経伝導検査などの,後述する代替検査の結果に基づいて診断することとなります.神経生検を受けなかった場合,正確な情報が得られないために,診断精度,治療方針に影響が及ぶ可能性があります.

6.本検査以外の検査法について(代替検査)

 神経画像検査(MRIなど),神経伝導検査,脳脊髄液検査,遺伝子検査などに基づいて診断し

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