1.現在の病状・病態
うつ病や不安症(パニック症や社交不安症),強迫症,心的外傷後ストレス障害,摂食症などの精神疾患を有しているとき,あるいは強いストレスが加わっている状況のなかでは,物事を冷静に把握し,また適切に行動するという,通常行えている情報の処理がうまく機能しなくなってしまいます.例えば抑うつ症状が強いときには,「認知の歪み」とよばれる物事の捉え方の偏りがみられるようになり,不適切ないしは非適応的な行動や,抑うつ・不安などの不快な気分が引き起こされていきます.また,不安症状が強いときには,ある状況や物事を回避する,あるいは不安を和らげるための習慣的な行動(例:手洗い,確認)を過度に繰り返す(強迫行為),といった行動面での問題で病状が悪化しやすく,結果として日常生活に強く影響を及ぼしてしまいます.このような状態は決してまれではなく,日本では約1/4(22.7%)1)の方が生涯のいずれ