診療支援
患者説明

先天性心疾患の心臓カテーテル検査
三浦 大
(東京都立小児総合医療センター・副院長)

1.現在の病状・病態

 あなた(または,あなたのお子さん)は,生まれつき心臓の構造に異常がある先天性心疾患です(表1).このため,心不全や唇が紫色になるチアノーゼなどの症状が生じることがあります.今は無症状であっても,将来生じる可能性もあります.すでに心エコー検査などを基に疾患について説明を聞いていると思いますが,心臓カテーテル検査によって診断が変わることもあります.

2.検査目的

 先天性心疾患の正確な診断と合併する異常の検索を行い,病状・病態を正確に把握するため心臓カテーテル検査を行います.

3.検査の方法

 低年齢では安静を保つために鎮静薬や麻酔薬を投与します.状態によっては,気管内に管を入れて人工呼吸を行います.年長児では局所麻酔で行うことがあります.

 カテーテル(直径2mm程度の細い管)を脚の付け根(鼠径部)の動脈や静脈から入れます(図1).首,腕,手首などの血管を用いることもあります.

 カテーテルをX線で映しながら心臓まで進め,各部位の血圧を測定したり,採血して酸素濃度を測定したり,造影剤を用いて心臓や血管の形態を描出したりします.カテーテルを血管の中に入れている間は,血液を固まらなくするヘパリンという薬を使います.

 検査時間は2~4時間程度ですが,年齢や疾患によって異なります.

 検査後はカテーテルを抜いて圧迫して帰室しますが,カテーテルを入れた部位の出血を予防するためにベッド上で安静を保っていただきます.安静を保てない場合は身体の抑制が必要です.

4.検査中・検査後に起こりえる主な合併症,後遺症

 一般の心臓カテーテル検査では1~2%に重大な合併症が起こる可能性があります1~3).ごくまれに死亡する場合もあり,その確率は0.2~0.3%とされています2,3).特に,重症心疾患(心不全が重い,高度の肺高血圧がある,チアノーゼが強いなど)の方,染色体異常や多臓器に合併症のあ

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