診療支援
患者説明

婦人科がん化学療法 子宮体がんに対するパクリタキセル・カルボプラチン(TC療法)
山上 亘
(慶應義塾大学医学部産婦人科・専任講師)

1.現在の病状・病態の説明

 あなたの病気は,子宮体がんです.がんは,早期の段階ではがんができた臓器である子宮にとどまり,大きくなっていきますが,次第に周辺の臓器や,離れた臓器に広がり(浸潤,転移,播種),やがてさまざまな症状を引き起こします.画像検査などでは病気が元の臓器にとどまっていそうでも,細胞のレベルではすでに子宮の外に出てしまっている場合があります.

 主ながんの治療法には手術療法,化学療法,放射線療法,分子標的治療などがあります.化学療法は,抗がん剤を用いてがん細胞を破壊したり,増殖を抑えたりするのが目的です.抗がん剤は血管内に投与されると全身をめぐって体内のがん細胞に作用するため,化学療法は手術療法や放射線療法と異なり,全身の治療効果が期待できる点で有効な治療法と考えられます.

2.治療目的

 がん治療の最大の目的は患者さんの生命を保つことです.場合によっては,がんの増殖を遅らせること,がんによる症状から解放すること,全身状態(生活の質:quality of life;QOL)の改善などを目的とすることがあります.治療内容は最善のものを選びます.

1)術後化学療法

 手術だけでは治療が十分でない場合,または,術後早期再発の予防を目的に治療を行います.

2)寛解導入化学療法

 主に進行がんや再発がんに対して,化学療法を行うことにより腫瘍の縮小を狙います.

3)術前化学療法

 がんが進行していて手術が安全に施行できない場合に,術前にあらかじめ化学療法を行うことにより,がんを縮小させて手術を行いやすくします.

4)緩和的化学療法

 進行がんや再発がんに対して完全に治すことが期待できない場合でも,化学療法でがんの進行をコントロールしつつ症状の軽減を図り,できる限りQOLの高い日常生活を送ることを目標とします.

3.治療法の概略

 子宮体がんに対して一般的に行われる化学療法で,パクリタキセル,カル

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