1.現在の病状・病態

　甲状腺は身体の代謝や発達を活発化させる甲状腺ホルモンを分泌する組織です．甲状腺がんは甲状腺内部に発生し，場合によっては全身に転移します．多くの場合，甲状腺がんの主病変はまず甲状腺全摘（あるいは準全摘）手術により正常な甲状腺ごと切除されます．術後は甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなるため，患者さんは甲状腺ホルモンを補充する薬を一生飲み続けることになります．もし甲状腺がんが甲状腺内部にとどまっていた場合には，手術で体内の甲状腺がん細胞はすべて切除され，残存腫瘍細胞がない状態になったと考えられます．そのような病状の場合，原則的に経過観察の方針となり，定期的に腫瘍マーカーとしてサイログロブリンの採血やシンチグラフィなどの画像診断が行われ，再発の有無を確認していくことになります．

2.治療目的

　術後の経過観察を容易にするため，頸部に残存した正常な甲状腺組織を放射線で焼灼，つまり