診療支援
患者説明

摂食障害(内科,プライマリ・ケアを窓口に受診する場合)
河合啓介
(国立国際医療研究センター国府台病院心療内科・診療科長)

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1.現在の病状・病態の説明

 摂食障害には,主に神経性やせ症(いわゆる拒食症,anorexia nervosa;AN)と神経性過食症(いわゆる過食症,bulimia nervosa;BN)があり,ここでは,低栄養と食行動異常で脱水,徐脈,低血圧,不整脈,無月経,意識障害,骨折などの身体に合併症を呈するANについて取りあげます.

 ANは「食べる」行動になんらかの異常が出現して,やせてしまう病気です.特定の原因は明らかになっていませんが,個人の特性や社会環境が複雑に関連しているといわれています.成長期のお子さんの場合は,成長曲線の記録から身長や体重の増加が滞っていることで発見されることもあります.症状がエスカレートすると,場合によっては下剤や利尿薬の誤った使用や,食べ物などの万引き行為などが出てくることもありますが,これもANに関連した行動であるといわれています.

 治療は,心と身体(やせによる身体症状)の両面にアプローチする必要があります.患者さんは「治りたい気持ち」がある反面,体重が増えることへの恐怖や,食べることに対する恐怖があることから,「病気のままでいたい気持ち」もあります.その気持ちを治療者とともに,乗り越えていくことが大事です.

 致死的な身体合併症を発症することもあり,表1のどれかの項目にあてはまると,身体的要因による緊急入院が必要です1)

2.治療目的と治療法の概略2)

 低栄養になると,それだけで,脈が遅くなったり,体温が下がり,時には歩きにくくなったりします.さらに,意欲・思考力・集中力が低下し,こだわりが強くなります.そのため,まずは低栄養からの回復を目指します.それに並行して,それぞれの患者さんの心の問題を取り扱います.時には治療に拒否的な言動で治療意欲が低下しているように

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