▼定義
鎮痛薬合剤またはNSAIDsを大量(例:特定の鎮痛薬を生涯で3kg以上)に長期間服用した場合に生じ,急性腎障害,急性尿細管間質性腎炎,腎乳頭壊死,慢性尿細管間質性腎炎を呈する.時に末期腎不全に進行する.
▼病態
女性が男性に比し5~7倍と多く,好発年齢は30~50歳である.鎮痛薬合剤としては,アスピリンまたはフェナゾン(アンチピリン)とパラセタモール(アセトアミノフェン),サリチル酸系,カフェイン,コデインリン酸塩の組み合わせがある.NSAIDsとしては,インドメタシン薬,ケトフェニルブタゾン,メフェナム酸薬,ナプロキセン薬が原因となることが多い.
長期間の鎮痛薬服用により腎皮質が萎縮し,腎臓は縮小する.腎乳頭および髄質の内側に壊死がみられ,その部位には石灰化が認められる.壊死部の周辺には,尿細管の萎縮と拡張,リンパ球主体の細胞浸潤,間質の線維化などの慢性尿細管間質性腎炎像が認められ