診療支援
治療

2 心原性脳塞栓症
cardioembolism
伊藤 義彰
(大阪市立大学大学院教授・神経内科)

疾患を疑うポイント

●中年~高齢者に多い.

●突然の片麻痺,構音障害,失語症などで発症し,基礎疾患に心房細動などの不整脈や心疾患を伴う.

学びのポイント

●高齢化に伴い心房細動の有病率は増加していくため,心房細動を第一の原因とする心原性脳塞栓症は,超高齢社会で最も頻度が高くなりつつある脳梗塞の病型である.

●臨床的には予兆なく突然重症な神経症状を呈することが多く,一般に自然経過における生命予後・機能予後は不良である.

●一方で,発症4.5時間以内には血栓溶解療法の適応があり,それ以後でも血管内血栓除去術が可能な場合があり,これらにより血流が再開通した場合は劇的に予後が改善するため,緊急の対応がきわめて重要な疾患である.

●一定時間後に再開通した場合には出血性梗塞となりやすく,予後不良の一因となる.

▼定義

 脳血管が閉塞することで生じる虚血性脳血管障害のうち,心臓に原因があって形成された心内血栓が血流によっ

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