診療支援
治療

(1)高山病
mountain sickness
小島 直樹
(公立昭和病院・救命救急センター)

▼概説

 高度上昇に伴い気圧および大気中の酸素分圧が低下することにより生じる病態.高山病はさらに急性高山病(acute mountain sickness:AMS)高地脳浮腫(high-altitude cerebral edema:HACE)高地肺水腫(high-altitude pulmonary edema:HAPE)の3つに分類される.AMSは「海抜2,500m以上の高地へ急速に到達した6~12時間後に,中等度以上の頭痛に加えて,悪心,食欲不振,疲労,めまい,睡眠障害のうち1つ以上の症状を伴うもの」と統一の定義がある.HACEおよびHAPEは,おおむねAMSが進行した重症型だが,必ずしもAMSの徴候を示さない.

▼発症のメカニズム

 低圧,低酸素環境に対して,過換気,脈拍増加,肺動脈上昇などの順応反応が起こる際に発症する.血管拡張,血流増加に伴う静水圧上昇,血管透過性亢進,Na/K

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