●病態
・約1万人に1人の出生頻度を有する代表的な過成長症候群である.巨舌,臍帯ヘルニア,片側肥大,胎児性腫瘍など主要な身体合併症や耳垂前部の線状溝などの特徴的小奇形の組み合わせと重みづけから臨床診断がなされる.
・発症の本態は,11p15.5領域において細胞増殖作用を有するIGF2の過剰発現もしくは細胞周期を負に制御するCDKN1Cの発現抑制であり,インプリンティング異常症とよばれる.これらの発現異常につながる複数の遺伝学的原因分類を有し,親由来で発現の異なる当該領域のメチル化解析による診断が有用である.一方,遺伝学的異常が検出されても片側肥大のみなど臨床診断を満たさない例も存在する.
・臨床的に診断された例の約20%は遺伝学的異常を認めず,逆に11p15.5以外の領域にもインプリンティング異常を合併する症例(MLID:multilocus imprinting disorder)も近年報告さ