診療支援
検査

2021-2022年版/編集者の序

 2020年は,全世界がCOVID-19の感染拡大により,甚大な被害を受けた年として忘れることのできない年となってしまった.1月3日に中国武漢市における原因不明の重症肺炎として報告されたCOVID-19であるが,わが国でも1月中に12例の感染者が確定され,その後またたく間にその感染が拡大し,11月の時点では10万人もの人が感染し,1,800人以上の方が命を落とされる結果となってしまった.そして,感染拡大防止の観点から不要不急の外出を控え,3密(密閉,密集,密接)を避けることが推奨され,我々の生活様式が大きく変化した.医療関係者には,それに加えて,感染のリスクと向きあいながら医療行為を続行するという非常にストレスフルな日々が続いており,残念ながら実際に院内感染の事例も多く報告されている.

 このような状況は当然,本書の改訂にも影響を与えている.COVID-19,SARS-CoV-2についてそれぞれ執筆いただき,校了直前まで各種の情報の更新に努めた.それに加えて,検体採取時の注意や疾患の鑑別なども,COVID-19を念頭においた記載に変更された.そのほか,検査各論に「特定背景のある患者」,すなわち肝・腎機能障害患者,妊婦などを視野に入れた加筆を行ったほか,新規保険収載された項目は,がん遺伝子パネル検査を含め,本書に取り上げている.疾患と検査編には,参考とすべき国内の診療ガイドライン名を紹介し,皮膚疾患,小児疾患,高齢者疾患も拡充した.以上のように,今回も各種の観点から改訂を加え,臨床検査の現場に資するものを目指した.

 本書は1997年の初版以来,髙久史麿先生の監修の下,黒川清先生,北村聖先生と私の3人で23年間編集を担当してきたが,今版から杏林大学医学部の大西宏明先生に編集協力として加わっていただくことになった.本書が,読者の皆様に必要な情報を的確にそして即座に提供できる書物とし

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