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検査

初版(1997-1998年版)/監修者の序

 今回医学書院から出版される『臨床検査データブック1997-1998』の監修をお引き受けすることになった.本書は「総論」に引き続く「検査各論」,「疾患と検査」の3部門に分かれている.当然主要な部分は600を超える検査項目を網羅した「検査各論」であるが,本書の特徴として「疾患と検査」と題して第3部で270を超える疾患を取り上げたことがあげられる.

 まず「検査各論」では各検査項目の基準値,測定法,検体量,検査日数などの基本的な数値に引き続いて,検査結果の異常値の各レベルごとに考えられる様々な疾患を高頻度,可能性の別に記載し,更にそれに対する対策が簡潔に述べられている.また別項目として,異常値がでるメカニズムとその臨床的意義が比較的詳しく述べられており,次いで検査値を判読する上で注意すべき点,検体の採取および保存上の注意,薬剤服用の検査値への影響,保険上の注意が必要に応じて述べられている.

 次の「疾患と検査」では,各疾患の病態をまず簡単に紹介し,次いで検査の異常,経過観察のための検査項目と測定頻度が各検査項目ごとに記載され,最後に診断・経過観察上のポイントが述べられている.

 近代医学における疾患の診断に際して,臨床検査が極めて重要な役割を演じていることは今更言うまでもないことであるが,臨床検査と各疾患の診断について考えた場合,2つのアプローチがあると思う.すなわち1つは患者の訴えや臨床病状から特定の疾患を推定して各種臨床検査を行い,診断の確定,更に疾患の重症度の判定に至る場合.もう1つは逆に検査値の異常を見つけ,その異常から疾患の診断に至る場合である.そのいずれのアプローチも臨床上同じ様に重要であるが,本書の内容はそのいずれのアプローチにも対応できるように工夫されている.各検査,疾患に関する記載も簡明であるが,反面異常値がでるメカニズムとその臨床的意義や,診断・経過観察上のポイン

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