診療支援
検査

データ判読の基礎
河合 忠
(自治医科大学名誉教授)
北村 聖
(地域医療振興協会顧問)

Ⅰ.生体計測により得られる情報の特性

  ホメオスタシスとゆらぎ


 臨床検査は,いろいろな計測技術を利用して,生体の形態および機能の変化をとらえることである.便宜的に,生体そのものの変化をME機器を使って直接計測する場合を生体検査(生理学的検査と一部の画像検査などを含む)と呼び,生体から採取した体液や組織の一部,すなわち,検体(または検査材料)について計測する場合を検体検査と呼んでいる.


1.生体変化はファジーなもの

 臨床検査の対象となる生体の変化はファジー(fuzzy)なものであり,無生物の剛体を計測するのとは根本的に異なる.

 生体の特徴は,ホメオスタシスとゆらぎの二面を兼ね備えていることにある.すなわち,生体は常にゆらいでいるが,そのゆらぎは一定範囲内にあり恒常性を維持している.すなわち,図1に示すように,生きたヒヨコの体長を計測するのにたとえることができる.ヒヨコは常に動いているので,1

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?