診療支援
検査

検体の採取・提出上の注意事項
北村 聖
(地域医療振興協会顧問)

Ⅰ.インフォームドコンセント(IC)


 検査を行うことのみ患者に話すのではなく,具体的な検査項目についての目的,必要性,検体の種類(血液,尿など)とその量について,患者に説明し同意を得ることが重要である.HIV検査で問題になったように,多くの検査で同意がないと検査ができないものと理解したほうがよい.さらに当然のことながら,結果についても速やかに伝える必要がある.患者は検査結果を裁判の判決のように首を長くして待っていることを忘れてはならない.また,検査結果は患者本人に伝えることを原則とする.


Ⅱ.精度保証のための一般的注意


 検体採取,検体の提出にあたって医師・看護師などが留意する点を以下に列記する.いずれも当然のことと感じられる事項であるが,実際に検体検査に関する誤りや事故は,検体採取から検査室搬入までの間に起こることが多い.

①検体検査は試料採取後,直ちに検査を実施することが原則である.時間が経過すればするほど検体は劣化し,本来の値と離れることがあることを銘記しておくこと.

②やむをえない場合(外注センターなどを利用する場合)は保存・輸送の手段を考え,各々の検査項目について正しい値が得られる条件(検体を引き渡すまでの日数・時間,保存の温度など)を明らかにしておくこと.

③検体採取時の患者の状態を明らかにしておくこと.食前か食後何時間経過した状態か,服用している薬剤など検査値に影響を及ぼすと考えられることは,結果判読のときのためにカルテに記載しておくことが望まれる.場合によっては,これらの条件を検査室に報告する.

④検査項目によって容器・試験管が異なるので,適切なものを用いること.できるだけ試験管の種類は少ないほうがよいが,検査項目によっては,特殊な処置を必要とする.たとえば血糖値はフッ化ナトリウムが入っていないと,経時的に血糖値が低下する(主に赤血球による解糖のため).このように,単に

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