診療支援
検査

検査計画の進め方 初期診療時の基本的検査
北村 聖
(地域医療振興協会顧問)

Ⅰ.基本的検査とは

 わが国の日常診療レベルは平均的に著しく向上した.しかし,臨床検査の使い方については,適切な使い方が行われていないのではないかとの疑問がしばしば指摘されている.本書の各論のように個々の検査項目の意義と,得られた検査結果をいかに解釈するかなどについての書物は多いものの,どのような組み合わせで検査を依頼・実施するのが効率的であるかについては,解説書も少なく,あまり議論されてこなかった.検査医学的にも,また経済的にも効率的な検査項目の組み合わせを考えることはきわめて重要と考える.

 特に,いわゆるスクリーニング検査に関しては,常に経験的なものが主流であり,医師それぞれによって専門的になりがちであったり,検査項目が偏ったり,重複したりすることがしばしばみられた.スクリーニング検査は,どの診療科のどの専門の医師であっても,臨床検査医学的見地から見落としがなく,かつ効率的・経済的な組み合わせ検査が必要と考えられる.また,いわゆるセット検査と呼ばれる検査の組み合わせがあるが,その多くは検査をオーダーする際のチェックする手間を省く目的であるとか,あるいは同種の検査項目をセットにしたにすぎず,経済的・教育的効率性が考慮されたものではないものが多い.

 昨今,科学的根拠に基づいた医療(evidence based medicine;EBM)の必要性が認識され,検査項目の選択の際にも,根拠が求められている.evidence based diagnosis(EBD)あるいはevidence based laboratory medicine(EBLM)といった概念が用いられ,特にスクリーニング検査の項目選択について根拠が求められている.

 スクリーニング検査が満たす条件について臨床検査医学的には表15のように考えられている.これはWHOから提唱されているもので,基本的には,検査は被検

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