Ⅰ.基本的検査とは
わが国の日常診療レベルは平均的に著しく向上した.しかし,臨床検査の使い方については,適切な使い方が行われていないのではないかとの疑問がしばしば指摘されている.本書の各論のように個々の検査項目の意義と,得られた検査結果をいかに解釈するかなどについての書物は多いものの,どのような組み合わせで検査を依頼・実施するのが効率的であるかについては,解説書も少なく,あまり議論されてこなかった.検査医学的にも,また経済的にも効率的な検査項目の組み合わせを考えることはきわめて重要と考える.
特に,いわゆるスクリーニング検査に関しては,常に経験的なものが主流であり,医師それぞれによって専門的になりがちであったり,検査項目が偏ったり,重複したりすることがしばしばみられた.スクリーニング検査は,どの診療科のどの専門の医師であっても,臨床検査医学的見地から見落としがなく,かつ効率的・経済的な組み