呼吸器疾患の特徴は,その原因が,感染症,腫瘍,アレルギー,免疫異常,外界からの異物,物理化学的刺激など多岐にわたること,これに解剖学的複雑さが相まって,疾病の種類がきわめて多彩であるということがあげられる.他方,呼吸器疾患の症状は,咳,痰,胸痛,呼吸困難など,比較的画一的で,患者が苦痛を自覚しやすいことから,一般に,早期発見・診断の容易な疾病と誤解されているきらいがある.咳,痰,呼吸困難などの症状があれば,患者は呼吸器疾患と自覚して受診し,医師も,気管支炎,肺炎,喘息といった,代表的呼吸器疾患を念頭に,検査・治療を組み立てる結果,他臓器の疾病や比較的頻度の低い呼吸器疾患を見逃す危険がある.また,逆に,咳,痰,胸痛,呼吸困難などの症状がない場合,呼吸器疾患を想起しないという危険もある.前者の代表に,心不全,癌性リンパ管症,過敏性肺臓炎などがあり,後者の代表に肺癌がある.画一的な症状を有する
診療支援
検査
検査計画の進め方 呼吸器疾患
初出:臨床検査データブック 2023-2024
発行:2023年1月
収載:医学書院 医療情報サービス(2024年11月7日 掲-ID:ken_05009-23_a005z0002)
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