診療支援
検査

検査計画の進め方 小児科における検査計画(検査の特徴)
石黒 寛之
(しのはら小児クリニック院長)

 小児科における検査計画は,詳細な病歴聴取,丁寧な身体診察を行ったうえで想定される疾患を絞り込むため,あるいは疾患を鑑別・確定するために行われる.これらは成人と同様の過程であるが,小児では検体採取の手技的困難さや年齢,性別により基準値が異なるといった点に留意する必要がある.本項では安全かつ迅速に,そして患児への苦痛を軽減させる検体採取法や小児科における検査計画とその評価などについて記載する.


Ⅰ.検体採取


 小児においても採血と採尿は日常診療のなかで最も基本的な手技であり,小児をみる医師であればその方法に熟練するよう努力しなければならない.安全かつ迅速に行うことは患児への苦痛を軽減するとともに,日常診療を円滑に行うことにも役立つ.最近では感染症関連迅速検査も幅広く日常診療で用いられており,採血,採尿と同様に不適切な方法で採取した場合には誤った診療情報をもたらすことも少なくなく,正しい採取方法を確認しておく必要がある.

 小児では血液,尿,髄液などの検体採取は必ずしも容易ではなく,トレーニングを積んだ小児科医以外にはややハードルが高いことがある.採血法の詳細については優れた解説書がでているのでそれらを参照するとともに,経験豊かな小児科医の手技を傍らでみて自分のものとしてほしい.特に小児科医は各自の経験からそれぞれ独自のコツをつかんでいるので,積極的に見学,指導を受けるのがよい.しかし,採血など数回試みて採れない場合や自信がない場合には,無理をせずに他医の助けを仰ぐことも大切である.

 また採血や採尿は医療従事者からすれば基本的な処置であり,これを実施することに対する抵抗感はほとんどないと思われる.しかし,保護者や比較的理解力のある患児での反応は一様でなく,ときに検査に対して拒否反応を示したりする.忙しい臨床の現場では大変なことではあるが,その適応をよく考慮し,必要性をわかりやすく説明

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