診療支援
検査

基本検査テクニック 一般尿検査の採尿・定性・沈渣
宿谷 賢一
(順天堂大学教授・医療科学部)
北村 聖
(地域医療振興協会顧問)

 尿定性検査と尿沈渣検査は,クリニックから大学病院までのさまざまな医療の場で行われている代表的なスクリーニング検査である.この2つの検査には,わが国の臨床検査の標準を定める代表機関である日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards;JCCLS)でまとめられた方法がある.検査実施にあたってはこの方法に準じることが望まれる.

 本項では,下記に示すJCCLS提案指針に基づいた検査方法について解説する.

 「尿沈渣検査法2010」JCCLS提案指針

 JCCLS GP1-P4


Ⅰ.採尿


1.採尿方法

 尿検査の一般的な採尿法は自然排尿であり,採尿の際には前半の尿は捨て“中間尿”を採取する.特に,女性の採尿の場合は,腟・外陰部由来の混入物を避けるため,局所の清拭後に中間尿を採取させることが基本である.しかしながら,清拭用のガーゼや綿は高価であるため,日常検査では実施されていない施設が多い.現状においては,泌尿器科の専門外来以外での検尿では,清拭しなくとも中間尿だけは実施できるようにし,中間尿の採取方法などの指示ポスター(図24)を工夫して作成し,採尿室に貼ることが大切である.


2.尿の種類

 尿の種類(採尿条件・生理的変動など)により,検査結果の解釈が異なることがあるので尿の種類は明記する(表53).


3.検査するまでの時間

 尿は放置することにより成分が変化しやすいので,いかなる場合であっても採取後4時間以内に検査することが望ましい.室温で放置すると,細菌の繁殖による働きで尿素が分解してアンモニアになり,アルカリ性化がみられる.グルコース陽性尿では細菌がグルコースを消費するためにグルコースは低値になる(表54).尿沈渣検査においても血球類の減少,細菌の増大,塩類析出による他の成分の見落としの原因につながる.


Ⅱ.

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