基準値 2.0~12.0U
測定法 日本消化器病学会肝機能研究班推奨法
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 疾患診断に対する有用性が低く,最近では検査されることが少ない
Decision Level
●12U以上(基準上限以上)
[高頻度・可能性]急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,慢性感染症,膠原病,IgG骨髄腫 [対策]血清蛋白分画,免疫グロブリン定量.原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ZTTは硫酸亜鉛混濁試験の略であり,膠質反応試験の一種である.膠質反応試験は血漿蛋白質(アルブミンおよびγ-グロブリン)の量的,質的変化をみる検査であり,TTT(チモール混濁試験)とともに肝障害や膠原病のスクリーニング検査として用いられてきた.ZTTの上昇は免疫グロブリンのIgGと最もよく相関し,TTTの上昇はγ-グロブリン分画蛋白やリポ蛋白の増加,アルブミンの減少を反映している.A型肝炎の初期(通常,発症初期2週から)では,ZTTに比しTTTのほうが敏感に上昇する.IgMの増加を反映していると考えられている.IgG骨髄腫では,TTTは上昇せず,ZTTが異常高値を示すことが多い.脂質異常症では,TTTは上昇するが,ZTTはほとんど影響を受けない.現在では,疾病に特異的な種々の検査を行うことが可能であり,ZTTやTTT測定の有用性は低い.
[関連する検査]
通常,TTTも同時に測定し,TTTとZTTの異常の程度を比較して疾病を推定する.
判読
食後に増加するカイロミクロンが,わずかであるが正誤差を与える.
採取保存
血清分離後,冷蔵保存で約1週間,凍結保存で長期安定.
測定前後の患者指導
カイロミクロンがわずかであるが正誤差を与えるので,食後12時間以上経った空腹時に採血することが望ましい.
推奨する総説
多田慎一郎ほか:膠質反応(ZTT,TTT).日本臨牀67(増刊)234-236,200
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