基準値 410~760mL/分/1.73m2
測定法 比色法(Brun法).図47図を参照
検体量
・血清:各0.5mL
・部分尿:各5mL
日数 4~7日
目的 腎血漿流量の評価
Decision Level
●760mL/分/1.73m2以上(基準上限以上)
[高頻度・可能性]妊娠 [対策]原疾患の診断.病的意義は少ない
●410mL/分/1.73m2以下(基準下限以下)
[高頻度・可能性]脱水,心不全,ショック,腎動脈狭窄,糸球体腎炎,間質性腎炎,尿管結石,前立腺肥大 [対策]問診(蛋白尿,血尿,糖尿病,高血圧,心・腎・前立腺疾患など),尿検査,BUN,Cr,K,P,Ca,尿酸,血算の測定,尿路系超音波など.原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
パラアミノ馬尿酸(PAH)は,糸球体での限外濾過と近位尿細管での分泌で,1回の腎循環でほぼ100%除去されるので,PAHクリアランスは腎血漿流量(renal plasma flow;RPF)の指標とされる(厳密には100%ではなく,有効腎血漿流量とも呼ばれる).RPFは,腎前性(心不全,腎血管狭窄,脱水など),腎性,そして腎後性(結石,腫瘍,炎症など)の原因により低下する.
[関連する検査]
①一般的には,糸球体濾過量(GFR)も同時に測定する.②濾過率(filtration fraction;FF)=GFR/RPFによって,病因解明の手がかりが得られることがある.FFは,たとえば心不全や腎硬化症などでは高値であり,糸球体腎炎などでは低値である.
判読
①測定値がばらつく(±10%以上)ときは測定上の誤りを考慮する.②男性は女性よりやや高値.③50歳以上では,加齢とともに低下.
採取保存
血清,尿とともに冷蔵または凍結保存.
薬剤影響
①低下プロベネシド(近位尿細管でのPAHの分泌を抑制するため),スルホンアミド系薬,パラアミノサリチル酸カルシウ
関連リンク
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