診療支援
検査

乳酸脱水素酵素〔LD,LDH〕  パニ 11点(包)
★★
lactate dehydrogenase
片倉 芳樹
(あおば胃腸内科クリニック院長)
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・先端医療研究センター感染症分野)

基準値 124~222U/L

共用基準範囲 124~222U/L


パニック値 1,000IU/L以上

パニック値とその原因病態・危険病態


測定法 IFCC標準化対応法


検体量 血清0.5mL


日数 1~2日


目的 肝細胞などの破壊・傷害および悪性腫瘍の存在を疑う契機


Decision Level

●124IU/L以下(減少)

[高頻度]H型サブユニット欠損症(ヘテロ接合体),阻害因子(自己抗体) [可能性]H型サブユニット欠損症(ホモ接合体) [対策]LDアイソザイム,遺伝子解析

●222~350IU/L(軽度増加)

[高頻度]心不全,心筋症,慢性肝炎,肝硬変,慢性腎炎,ネフローゼ症候群,悪性腫瘍 [可能性]皮膚筋炎,関節リウマチ,結合抗体 [対策]原疾患の診断と治療

●350~500IU/L(中等度増加)

[高頻度]悪性リンパ腫,リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,悪性腫瘍,皮膚筋炎,進行性筋ジストロフィー [可能性]急性肝炎,心筋梗塞,急性骨髄性白血病 [対策]血液・骨髄像,CKおよびLDアイソザイム,臓器生検,画像診断

●500IU/L以上(高度増加)

[高頻度]心筋梗塞,急性肝炎,急性骨髄性白血病,悪性リンパ腫,悪性貧血 [対策]CKおよびLDアイソザイム,肝機能検査,血液・骨髄像


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 LDは体内のすべての細胞に存在する.LDには5種類のアイソザイムがあり組織ごとに含まれるアイソザイムが異なる.血清LD活性の上昇は細胞の損傷による.したがって活性上昇の程度は組織傷害の程度を表す.細胞からの遊出が止まれば血清LD活性は正常化するが,その消失の速さはアイソザイムにより異なる.

 LD5は消失が速いためLD5が上昇する急性肝炎,うっ血性心不全ではほとんどその時期の傷害の程度を表す.LD1は半減期が2~3日と長く,LD1の増加する急性心筋梗塞では2~3週間前の傷害を知ることがで

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