基準値 100~400ng/dL
測定法 RIA法,ラテックス免疫比濁法(短時間で迅速測定できる)
検体量 血清0.3mL
日数 2~4日
目的 膵炎および膵癌のマーカー
Decision Level
膵エラスターゼ1について述べる
●400ng/dL以上(高値)
[高頻度]急性膵炎,膵癌,慢性膵炎(再燃期) [可能性]膵嚢胞,膵外傷,ERCP後,消化管穿孔,腎不全,自己抗体 [対策]他の膵酵素測定〔リパーゼ,トリプシン,尿中トリプシノーゲン2,膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI),膵ホスホリパーゼA2〕.病歴と身体所見.腹部超音波,腹部造影CT,腹部単純X線.超音波内視鏡(EUS),EUS/FNA.急性膵炎と慢性膵炎急性増悪例では全身管理(血算,生化学,炎症とDICマーカー,輸液療法と尿量計測・血液ガス分析による水電解質管理,血圧,心電図モニター,ショック対策,酸素吸入,血糖管理など)
●100ng/dL以下(低値)
[可能性]膵全摘後,慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃 [対策]膵酵素補充療法.膵癌を否定する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血清膵エラスターゼ1は膵に由来するエラスターゼである.セリンプロテアーゼの一種で,白血球のエラスターゼとは免疫学的に異なる.膵にはエラスターゼ2もあるが,1のほうが多く含まれる.両者は物理的,免疫学的性質を異にする.
膵エラスターゼ1は膵から血中への逸脱酵素として膵炎や膵癌で血中レベルが増加する.血中レベルが長く保たれるので膵癌に伴う局所の膵炎の検出に役立つ(腫瘍マーカーの1つとされることもある).逸脱の他,腫瘍や結石による膵管あるいは乳頭部の閉塞,腸管からの漏出,腎からの排泄障害(慢性腎不全)などでも増加する.一方,膵の摘出後,あるいは慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃によって基準下限を下回る場合もある.
[関連する検査]
①膵炎の指標としてはアミ
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